の我儘

(沖田×千鶴)

 もしも君に出会わなかったら僕は病に侵されもう命を失っていたかもしれない。もしかすると、誰かに斬られていたかもしれない。だから、君は僕を生かしているんだよ。
 もし、君が僕に出会わなかったら…京に来なければ、君はきっと穏やかな人生を…優しい人と出会い、幸せな人生を過ごしていたかもしれないね。
 君は本当についてないね。僕なんかに掴まっちゃうなんて。何て可哀相なんだろう。でも、もう遅いよ。離してなんてあげない。きっと君には哀しい思いをさせるだろう。泣かせてばかりになるだろう。遠い未来を見せてあげないだろう。それを解っているのに、君を離す事が出来ないんだ。
 君を本当に大切に想うのならば、僕は君を抱きしめては…触れてはいけなかったんだ。口づけをしてはいけなかったんだ。
 解っているのに止められなかった。
 君が欲しくて。
 君に触れたくて。
 君を閉じ込めたくて。
 誰にも渡したくなんかないんだ。僕だけのものになって欲しかったんだ。
 もしも、僕が消えてしまっても、僕は君の傍にいるよ。君だけを想ってるよ。だから、君もずっと僕だけを想ってて欲しい。我儘だって解ってる。でも、僕の知らない所で君が僕以外の男に微笑みかけてるなんて我慢出来ないんだ。僕以外の男の腕の中にいるなんて…想像するだけでどうにかなりそうだ。
 だから、我儘になってもいいよね? いつまでも僕の事だけ考えててよ。
 いつか、淋しい思いをさせるの解ってるけれど、僕の事だけ想ってて。


 何となく、沖田さんは自分が誰かを好きになる事によって、相手を不幸にしてしまうのではないか…と、思ってそうなんです。
 それでも、千鶴の事を本気で好きになってしまって、離せない位好きでどうしようもないという葛藤とかあったのではないか。と、思い本当にショートショートですが、沖田さんのモノローグを書きたくなったので、勢いで書いてしまいました。