決断


 君がアプリコットだと気付いたのは出会ってすぐたった。
 それはもう君に恋心を抱いていたからなのかもしれない。
 だから、昼と夜、君に会うのが楽しくて仕方がなかったのは本当なんだ。嬉しくて、楽しくて、幸せだったからこそ苦しくなった。
 ―――俺は記者だからね。「書きたい」衝動にかられる。しかし、君との約束があった。制約が苦しかったというのもあるけれど、それだけじゃないんだ。記者としての自分と、男としての自分の心が真逆に働いていたからなんだ。
 誰にも君を見せたくない。危ない事に手を出しているのではないか、俺が追っている事件に君も巻き込まれているのではないか……いつから俺はこんなに心配性になったんだろうな。
 らしくないのは充分解ってるけど、こればかりはどうしようもない感情でどうしようもない。
 だから、もう君とは会わない。君といると苦しくて堪らない。何もかも投げ出して君の運命も変えさせて、二人きりでいられたら…なんて思う自分が嫌なんだよ。
 ―――だから、さよならだ。
 君が君らしくいられる為に、俺が俺らしくいられる為に遠くから君の活躍を祈っているよ。


 EDちょっと前の話です。一之瀬さんは大人なんで、きっとこの選択をするだろうなと思いながら攻略していたのですが、まさにその通りだったけれど、ガッカリはしませんでした。ここからあんずがどう出るのかそれを楽しませていただきました。
 もっともっと甘々なふたりが見たいなぁ…これはファンディスクとかって出ないんでしょうか。拓洋さんのゲームってあんまり持ってないけれど、ファンディスクってどれも出ていなかったような気がする。