決断
君がアプリコットだと気付いたのは出会ってすぐたった。
それはもう君に恋心を抱いていたからなのかもしれない。
だから、昼と夜、君に会うのが楽しくて仕方がなかったのは本当なんだ。嬉しくて、楽しくて、幸せだったからこそ苦しくなった。
―――俺は記者だからね。「書きたい」衝動にかられる。しかし、君との約束があった。制約が苦しかったというのもあるけれど、それだけじゃないんだ。記者としての自分と、男としての自分の心が真逆に働いていたからなんだ。
誰にも君を見せたくない。危ない事に手を出しているのではないか、俺が追っている事件に君も巻き込まれているのではないか……いつから俺はこんなに心配性になったんだろうな。
らしくないのは充分解ってるけど、こればかりはどうしようもない感情でどうしようもない。
だから、もう君とは会わない。君といると苦しくて堪らない。何もかも投げ出して君の運命も変えさせて、二人きりでいられたら…なんて思う自分が嫌なんだよ。
―――だから、さよならだ。
君が君らしくいられる為に、俺が俺らしくいられる為に遠くから君の活躍を祈っているよ。
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